誤解を恐れずにいうならば、製造開始からある程度の歳月を経たすべての時計に歴史が存在することになるのだが、なかでも、魅力的なのが、1969年にアポロ11号の月面着陸に携行されたオメガのスピードマスターのように、歴史的なミッションと関わるような逸話をもつモデルだろう。
歴史的なストーリー性のある時計は、腕に着けているだけでもロマンをかき立てられるし、その実績が使用にあたっての安心感にもつながってくる。そうした特殊なバックグラウンドや思わず人に教えたくなるウンチクは、時計に対する愛着を増す重要なエッセンスとなっているのだ。
今回は、そんな思わず人に教えたくなるバックボーンをもつ、三つの時計を厳選してみた。いずれも魅力的なモデルなので、ぜひチェックしていただきたい。
ブローバは1960~70年代にNASAの要請を受けてパネルクロックやタイマーの開発に携わり、実に46回にわたって精密機器がミッションに採用された。腕時計は公式装備品ではなかったが、船長が個人的に所有し、月面探索時に腕に巻いたとされている。本作は71年にアポロ15号とともに月に降り立った伝説的なブローバのクロノグラフを忠実に再現した復刻版ムーンウオッチ。
当時のブローバロゴ、ケースから少し飛び出た風防、分厚いグローブでも操作しやすく工夫された大きく細長いプッシュボタンなど、オリジナルモデルに見られたディテールが見事に再現されている。オリジナルのディテールを忠実に再現する一方、ブランド初のメテオライト(隕石)文字盤を採用しており、オリジナルと同じ43.5mmに仕上げたグレード5チタン製ケースが、軽量でありながらダイナミックな存在感を手首にもたらしている。
BULOVA_オリジナルアポロ15号の船長が4度目の月面探索時に身に着けていたというブローバ製クロノグラフ。私物であったことから船長の手元に保管され、オークションで約1億9700万円で落札された。
ダイバーズウオッチの開発競争が激化していた1950年代。国産ブランドとして本格ダイバーズウオッチの開発に先鞭を付けたのがセイコーだ。諏訪精工舎は150m防水を実現した国産初のダイバーズウオッチ、Ref.6217-8000を開発し、65年から製造を開始している。この国産初のダイバーズウオッチは、66年から4回にわたって南極観測隊越冬隊員の装備品として寄贈され、その後も改良を重ねながら、多くの冒険家、探検家によって、北極、南極、エベレストなど地球のあらゆる過酷な環境下で使用された。
“メカニカルダイバーズ 1965 ヘリテージ”は、そんな国産初のダイバーズウオッチのDNAを受け継ぐ、現代解釈モデルの最新形。2020年登場の“SBDC101”をベースにさらに様々な改良を加え、300m空気潜水用防水(既存モデルは200m空気潜水用防水)、約72時間パワーリザーブを確保。0.5mmサイズダウンしたケースと新たに開発されたブレスレット(短いピッチのコマとコンパクトなバックルで構成)により、装着感も高められている。
関連リンク:https://www.rasupakopi.com/nkopi_a208.html
また、本作はSEIKOブランド誕生 100 周年を記念したスペシャルエディションとなっており、ゴールドカラーをアクセントに加えたデザインを採用。製紐(せいちゅう)と呼ばれる、日本伝統の技法で編み込まれたファブリックベルトが付属しているのも魅力だ。
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